
今回はちょっと変わったテーマなのですが、タイトルの通り「ギターリペアは儲かるのか?」というお話をしていきたいと思います。
こんな方におすすめ
- 楽器業界でリペアマンとして働きたい
- 物を作ったり直したりするのが好き&ギターが好き
- 将来は自分の工房を立ち上げたい
ギターリペアは稼げるのか?
まず結論からいうと、こうです。
稼ぐことはできるが強いメンタルと努力が必要&適正次第
楽に稼げる仕事ではないことは間違いありません。非常に地道な作業ばかりで、最初は失敗することも多いので何度も心が折れそうになるでしょう。
そして適正というのは即ちギターが好きで、プレイヤーである依頼主の立場でセットアッププランを考えられる事、正確に音を聴ける事です。
また、ギターは必ずメンテナンスが必要で、オートメーションも難しいため、リペアマンの需要は常に一定あります。そしてリペアマンの人数は決して多くないので、熟練して信頼を得られれば引く手数多の存在になれるでしょう。
リペアマンの1年目は分からないことばかり…
私自身、18歳で大手ギタークラフト学校へ入学、リペアを勉強して20歳で卒業。
そのまま楽器店へリペアマンとして就職しましたが、最初のうちは本当に何も出来ることがありません。
それもそのはず。
お客様のギターに自分の手を加えるという事が初めてなので、ちょっと間違えても修正できるような軽いロッド調整やエレキギターの基本セットアップぐらいしかさせてもらえません。
それでも想定外の事が起こると予定よりもかなり時間がかかってしまい、自分の人件費で利益がふっとんでしまう、ということもザラにあります。
ちょっとつまづくと予定の何倍も時間が掛かってしまいます。
また、例えばネックが反っていて弦高が高くなってしまったギターを持って来られるお客様は「ロッド調整をしてください」と言って来られるわけではなく、
「弾きにくい現状を弾きやすくするためにどうすれば良いのか相談したい」がファーストコンタクトですので、自分の中にあらゆる調整パターンの引き出しがないと正しい提案ができません。
ただ単にネックをロッド調整で直しただけではどこかのポジションでビビりが発生するということもよくあるので「フレットすり合わせ」が必要だったり「ナット交換」が必要だったりもします。
ギターの状態を正確に見てその判断をすることもリペアマンの重要な仕事です。
まだお客様からお金をいただいてリペアの実地勤務をしたことがない段階では、たとえ学校でみっちり勉強したとしても「リペアの事はまだまだ何も知らない」に等しいです。
先輩リペアマンに相談しながらトライ&エラーを繰り返して、本当に少しずつ、リペアの事が分かってきます。
とにかく場数を踏むことと研究すること、これがリペアマンとしてのキャリアを築いていく唯一の道です。
個人事業主時代に実際に稼いだ金額
最後に、私が個人事業主としてリペアマンをやっていた時に1月で稼いだ金額を公開いたします。
その時のリペアマンとしてのキャリアは約5年、休みは週一ぐらいでとにかくひたすらリペアをこなしました。
売値ベースでおよそ月60万円程だったかと思います。合間に楽器店の事務や販売のヘルプをさせられたりもしたので、リペアにだけ集中できればもっと稼げると思います。
概算で・・・
フレットすり合わせが1時間半で仕上げられるとして、8千円の価格で1日7.5時間を月22日間やり続けると、単純計算で¥880,000となります。
サンドペーパー等消耗品の諸経費が掛かりますが、まあしれています。
単純計算ですが、¥880,000×12ヶ月続けられれば¥10,560,000なのでまあ稼げているといえるのではないでしょうか。実際にそれだけの受注を受けられる事と馬車馬のように働き、大きなミスもしないという事が前提なので決して楽ではないですが・・・。
もしギターが好きで、物を作ったり直すのが好きな方は一度足を踏み入れてみて、よければそのまま生業としてリペアマンをやっていくのもいいのではないでしょうか。
なんとなく、こんな記事見たこと無いなぁと思って書いてみましたが、なにかの参考になれば幸いです。
それでは皆様、引き続き良いアコギライフを!