
どうも!アコブロの主ことギター界隈でジャンク品などの動作不良中古が全然安値で買えなくて枕を濡らしているシモモリです。(円安を良いことにみんな海外に流してるのかなぁ…どう捌いてるんだろう。)
ブログのネタ探しにネットを漁っていると、Martinを買う時の注意点があんまり書かれていないのが気になってしまって。
買ってから「え?!そんなとこに落とし穴があったの?!」ってならないように、商品のことをちゃんと知ってもらおうシリーズを始めます。
第一弾はアコギの定番D-28から始めましょうか!D-28に限らない部分もありますが、関連するところは全て記述していきます。
エンジニア目線での注意点も書いていくので、各年代の検討材料にご活用くださいね!
シリアル年代判別
Martinはネックブロックにシリアルナンバーが刻印されており、通し番号となっています。ここではその年式の最後のシリアルナンバーを記載しています。(例:”10120”は1905年製 / ”10121”は1906年製)
| 1898年製 | 1899年製 | 1900年製 | 1901年製 |
|---|---|---|---|
| 8348 | 8716 | 9128 | 9310 |
| 1902年製 | 1903年製 | 1904年製 | 1905年製 |
|---|---|---|---|
| 9528 | 9810 | 9988 | 10120 |
| 1906年製 | 1907年製 | 1908年製 | 1909年製 |
|---|---|---|---|
| 10329 | 10727 | 10883 | 11018 |
| 1910年製 | 1911年製 | 1912年製 | 1913年製 |
|---|---|---|---|
| 11203 | 11413 | 11565 | 11821 |
| 1914年製 | 1915年製 | 1916年製 | 1917年製 |
|---|---|---|---|
| 12047 | 12209 | 12390 | 12988 |
| 1918年製 | 1919年製 | 1920年製 | 1921年製 |
|---|---|---|---|
| 13450 | 14512 | 15848 | 16758 |
| 1922年製 | 1923年製 | 1924年製 | 1925年製 |
|---|---|---|---|
| 17839 | 19891 | 22008 | 24116 |
| 1926年製 | 1927年製 | 1928年製 | 1929年製 |
|---|---|---|---|
| 28689 | 34435 | 37568 | 40843 |
| 1930年製 | 1931年製 | 1932年製 | 1933年製 |
|---|---|---|---|
| 45317 | 49589 | 52590 | 55084 |
| 1934年製 | 1935年製 | 1936年製 | 1937年製 |
|---|---|---|---|
| 58679 | 61947 | 65176 | 68865 |
| 1938年製 | 1939年製 | 1940年製 | 1941年製 |
|---|---|---|---|
| 71886 | 74061 | 76734 | 80013 |
| 1942年製 | 1943年製 | 1944年製 | 1945年製 |
|---|---|---|---|
| 83107 | 86724 | 90149 | 93623 |
| 1946年製 | 1947年製 | 1948年製 | 1949年製 |
|---|---|---|---|
| 98158 | 103468 | 108269 | 112961 |
| 1950年製 | 1951年製 | 1952年製 | 1953年製 |
|---|---|---|---|
| 117961 | 122799 | 128436 | 134501 |
| 1954年製 | 1955年製 | 1956年製 | 1957年製 |
|---|---|---|---|
| 141345 | 147328 | 152775 | 159061 |
| 1958年製 | 1959年製 | 1960年製 | 1961年製 |
|---|---|---|---|
| 165576 | 171047 | 175689 | 181297 |
| 1962年製 | 1963年製 | 1964年製 | 1965年製 |
|---|---|---|---|
| 187384 | 193327 | 199626 | 207030 |
| 1966年製 | 1967年製 | 1968年製 | 1969年製 |
|---|---|---|---|
| 217215 | 230095 | 241925 | 256003 |
| 1970年製 | 1971年製 | 1972年製 | 1973年製 |
|---|---|---|---|
| 271633 | 294270 | 313302 | 333873 |
| 1974年製 | 1975年製 | 1976年製 | 1977年製 |
|---|---|---|---|
| 353387 | 371828 | 388800 | 399625 |
| 1978年製 | 1979年製 | 1980年製 | 1981年製 |
|---|---|---|---|
| 407800 | 419900 | 430300 | 436474 |
| 1982年製 | 1983年製 | 1984年製 | 1985年製 |
|---|---|---|---|
| 439627 | 446101 | 453300 | 460575 |
| 1986年製 | 1987年製 | 1988年製 | 1989年製 |
|---|---|---|---|
| 468175 | 476216 | 483952 | 493279 |
| 1990年製 | 1991年製 | 1992年製 | 1993年製 |
|---|---|---|---|
| 503309 | 512487 | 522655 | 535223 |
| 1994年製 | 1995年製 | 1996年製 | 1997年製 |
|---|---|---|---|
| 551696 | 570434 | 592930 | 627499 |
| 1998年製 | 1999年製 | 2000年製 | 2001年製 |
|---|---|---|---|
| 668796 | 724077 | 780500 | 845644 |
| 2002年製 | 2003年製 | 2004年製 | 2005年製 |
|---|---|---|---|
| 916759 | 978706 | 1042558 | 1115862 |
| 2006年製 | 2007年製 | 2008年製 | 2009年製 |
|---|---|---|---|
| 1197799 | 1268091 | 1337042 | 1406715 |
| 2010年製 | 2011年製 | 2012年製 | 2013年製 |
|---|---|---|---|
| 1473461 | 1555767 | 1656742 | 1755536 |
| 2014年製 | 2015年製 | 2016年製 | 2017年製 |
|---|---|---|---|
| 1857399 | 1972129 | 2076795 | 2161732 |
| 2018年製 | 2019年製 | 2020年製 | 2021年製 |
|---|---|---|---|
| 2258889 | 2366880 | 2454224 | 2576415 |
| 2022年製 | 2023年製 | 20024年製 | 2025年製 |
|---|---|---|---|
| 2711440 | 2829083 | 2935987 | - |
各年代の仕様と変遷
| 年代 | 仕様 |
|---|---|
| 1931年 | 「D-28」発売 ネックジョイント:12Fret ブレイシング:スキャロップド・Xブレイシング トップ: Adirondack Spruce サイド&バック: Brazilian Rosewood 指板&ブリッジ: Ebony 指板インレイ: ダイヤモンド&スクエア トラスロッド: エボニー トップバインディング: 3Ply Ivory Herringbone バックバインディング: 3Ply Ivory バックストリップ: ジグザグパターン ピックガード: 鼈甲柄(塗り込み) 接着剤: ニカワ |
| 1934年 | ネックジョイント: 12Fret → 14Fret トラスロッド: エボニー → スチールTバー ペグ: Grover Open back |
| 1935年 | ブレイシング: スキャロップド・Xブレイシング → フォワードシフテッド・スキャロップド・Xブレイシング |
| 1938年 | ブレイシング: フォワードシフテッド・スキャロップド・Xブレイシング → リアシフテッド・スキャロップド・Xブレイシング |
| 1939年頃 | ペグ: Grover Open back → Grover Closed back |
| 1941年頃 | ペグ: Grover Closed back → Wavery Open back |
| 1942年頃 | トラスロッド: スチールTバー → エボニー ※第二次世界大戦物資不足の影響 |
| 1943年 | ペグ: Wavery Open back → Kluson Open back (プラボタン) |
| 1944年 | ブレイシング: リアシフテッド・スキャロップド・Xブレイシング → リアシフテッド・(ノンスキャロップド・)Xブレイシング 指板インレイ: ダイヤモンド&スクエア → スモールドット |
| 1945年 | トラスロッド: エボニー → スチールTバー ペグ: Kluson Open back(プラボタン) → Wavery Open back |
| 1946年 | トップ: Adirondack Spruce → Sitka Spruce or Engleman Spruce 指板インレイ: スモールドット → ラージドット |
| 1947年 | ペグ: Wavery Open back → Kluson Deluxe トップバインディング:3Ply Ivory Herringbone → 6Ply White バックバインディング:3Ply Ivory → 3Ply White バックストリップ: ジグザグパターン → チェッカーパターン |
| 1949年 | ペグ: Kluson Deluxe → Kluson Shield back |
| 1958年 | ペグ: Kluson Shield back back → Grover Rotomatic |
| 1962年 | ヘッドシェイプが丸くなる(1990年代から角が立つ) ※木製テンプレートがすり減ったためと言われている(その後金属製のテンプレートに換装) |
| 1964年 | ヘッド角度が16度 → 14度へ変更されテンション感が若干緩やかに |
| 1965年 | サドルシェイプがロングサドルからスロットサドルに変更 |
| 1966年 | ピックガード: 鼈甲柄(塗り込み) → 黒(塗り込み) |
| 1967年 | トラスロッド: スチールTバー → スクエアロッド |
| 1969年後期 | サイド&バック: Brazilian Rosewood → Indian Rosewood |
| 1970年代 | ⚠️弦長に対してブリッジ位置が数mmリアシフトしているためオクターブピッチが#する ※当時使っていたスケール(物差し)に問題があったとされている |
| 1975年頃 | 接着剤: ニカワ → タイトボンド |
| 1978年 | ペグ: Grover Rotomatic → Schaller |
| 1985年 | トラスロッド: スクエアロッド → アジャスタブルロッド ピックガード: 黒(塗り込み) → 黒(塗装面に貼り付け) |
| 1990年代 | ⚠️主にネックの塗装が経年劣化により軟化する個体が散見される (1992年に変更されたクロスリンクフィニッシュの影響?) |
| 1994年 | ヘッドロゴがGold Foil仕様に |
| 2000年代初頭 | ⚠️製作後の短期間でネックジョイントで元起きする個体が散見される ※ジョイントの間にスペーサーとして紙が挟まっていたとの情報もあり |
| 2017年 | 「D-28 Standard」としてリニューアル発売 ※ナット幅が従来の42.9mmから44.5mmへ変更され、フォワードシフテッド・Xブレイシングになり、ヘッドストックはデカールロゴ、ピックガードは鼈甲柄およびフィニッシュはエイジングトナーでヴィンテージを踏襲したスタイルに。(Vintageシリーズと統合されたようなスペック) |
1931年 Martin D-28 発売
1916年頃からOEM受注生産していた、ひときわ大きなボディサイズのギター。それがDreadnought(D)スタイルの原型となり、現代で最も有名なアコースティックギターのひとつである”D-28”になりました。
当時のアコースティックギターの仕様は12Fretジョイントが主であり、音響特性に優れることとハイポジションでの演奏性に重きを置いて作られていなかったことでD-28も12Fジョイントでのデビューとなりました。
1934年 D-28が現代の14Fジョイント仕様に

クラシックな12Fジョイント仕様から我々に馴染み深い14F仕様への変更が1934年に施行。
12Fジョイント仕様の豊かな倍音や力強い鳴りを求めるプレイヤーからの根強い人気もあり、今でも12Fジョイントモデルは不定期に発表されています。
~1984年 ノンアジャスタブルトラスロッドの変遷(エボニー/スチールTバー/スクエア)

エボニーロッドは鉄製に比べ強度が劣るものの軽量なために全体の響きが変わります。しかしながら、強度と重量に関してはネックのサイズを変更したり木材を変更する等である程度融通が利くため、現代ではほとんど使用されていません。
鉄製になってからはより軽くより高強度を目指して仕様変更が重ねられています。
1985年 アジャスタブルロッドの採用

Gibsonの特許切れによりMartinにも待望のアジャスタブルトラスロッドが導入されました。これにより経年変化により反ったネックを手軽に調整することができようになりました。そしてネックをより細くする(強度を下げた懸念が減ったため)こともできるため、設計の柔軟性も上がったことでしょう。
1935年 フォワードシフテッド・スキャロップドXブレイシングの採用

1938年 リアシフテッド・Xスキャロップドブレイシングの採用

1944年 ノンスキャロップXブレイシングへ(スキャロップドブレイシングの廃止)

当時、ギターに負荷のかかるHeavy Gauge弦が多用されており、ブリッジやブリッジ前後のトップ板への重大なダメージが相次いだため1944年以降はノンスキャロップ仕様に変更し、強度アップを図っています。また、弾き込む事でギターの一体感がより一層得られバランスの良いトーンに育つため、シモモリ的にはノンスキャロップブレイシングの方が好きです♪
1962年 ヘッドシェイプが丸くなる

若干ですがヘッドの角が丸っこくなるのが1962年以降のD-28に見られます。一説によると、ヘッドストック用のテンプレート(木型)が使用によりすり減ったことが原因と言われ、その後鉄製のテンプレートに差し替えられたとのこと。
個人的にはこの丸っこいのが好きで、僕意外にもファンが多いです。
装飾の変遷
バインディング

バックストリップ

ヘッドロゴ

ピックガード

接着剤を膠(ニカワ)→タイトボンドへ

1974年まで使用されていた膠(ニカワ/ハイドグルー)は職人のさじ加減で強度を調節可能かつ熱により溶かすことができるため、剥がしたい時に容易に剥がすことができます。
1975年からは水に弱いものの誰でも簡単に扱うことができて高い強度をもち、接着時間を短縮することができるタイトボンドを使用しています。
Martin年代別注意点
冒頭でも触れたように、Martin D-28には年代別に注意するポイントがあります。ざっくり私が知る限り4点共有しますので、技術的な対応策を含めて見ていってくださいね。
~1984年 ー ”マーティンクラック”が発生する

マーチンクラックと呼ばれるものは1984年までの”塗り込み式ピックガード”とピックガードの素材の収縮による特性上、いずれ確実に発生するものとなります。対策としては、シンプルにクラックが発生する前にピックガードを剥がし、新品のピックガードを貼り付けること。
1985年にピックガード貼り付け仕様の変更とともに発生しなくなります。でも塗り込みのピックガードって面取りされててカッコいいんですよね。クロサワ楽器のD-28 Customシリーズには面取りPGが標準搭載されているものもあります。
1970年代 ー 設計上のスケール(フレッティング)に対してサドル位置が遠いためオクターブピッチがシャープする

1970年代の個体がすべてそうなのかは分かりませんが、私が見てきた1970年代のD-28はすべてこの症状が見受けられました。
開放弦と比較すると12Fのオクターブピッチが明らかにシャープしてしまいます。これは、ソロの弾き語りのみで演奏する場合は特に気にならない人が多いかと思いますが、他の楽器とのアンサンブルで使用したときに非常に違和感となります。。
これの対策方法はブリッジを一度剥がし、0~12Fまでと12F~サドル位置が同じ距離になるように一回り大きなブリッジを作成して貼り付ければOK。既に対策がされているギターはピックガードの位置とサドルの位置が非常に近いためそこで見分けることも可能です。
1970年代のMartinを検討している場合は必ず試弾きの際に必ずチェックしましょう。
1990年代 ー ネックの塗装が経年劣化により軟化する個体が散見される

1970年代モデルのネック裏面がくすんでいたりすると要注意!ベタ付く感じがあっても「汚れが付いてるのかな?」と思ってポリッシュでゴシゴシしているとそのうち塗装が落ちてしまいます💦
対策は#600~1000ぐらいのペーパーで磨いて表面を少し荒らしてやる、かオーバーラッカー(リフィニッシュがベター)で塗装しなおしてあげることですね。
2000年代初頭 ー 製作後、短期間でネックジョイントから元起きする個体が散見される

2000年代前期のものだけだったかと思いますが、ネックの元起きをやたらしていて弦高がめちゃくちゃ高いD-28が多いです。
実際にネックの状態を見て確認するか、弦高が問題ないかどうか確認してからの購入がおすすめ。ネックの元起きを起こしている個体は、基本的にネックリセットのみが対応策となります。
多くのミュージシャンに愛され長く偉大な歴史を感じるMartin D-28
僕がMartin D-28を初めて見たとき、まだ20万円代後半ぐらいでしたが、それでも「たっか!!」と思いました。「誰が買うねん?他のと何が違うん??」って正直思いましたw💦
しかし、今ではその価格にも納得のバックボーンがMartinというブランドとD-28というモデル自体にあるんだなと心底思います。
D-28が製造される限り、皆に愛され続けるでしょうし、もし仮に「D-28の製造終了しました」ってなった時、市場価値が高騰してもう手に入れることのできないモデルと化してしまうのも時間の問題でしょうね。
是非、その歴史とともにD-28を愛でる一人になりませんか?
