※本ページにはプロモーションが含まれています

アコギ

アコギに使われる木材徹底解説!~トップ材編~

アコースティックギター(アコギ)の音に最も大きな影響を与えるのが「トップ材(表板)」です。
実はこのトップ材、樹種によって
音のキャラクターや鳴り方がガラッと変わるんです!

本記事では、そんなトップ材として人気のある木材たちを徹底解説!
それぞれの特徴、音色、代表的なモデル、レッドリストの扱いまで網羅しました。


ギターの音は材質によって変わる?

「ギターは弾き手が鳴らすもの」と言われますが、材質が違えばまるで別の楽器かのように響きが変わります。

とくにトップ材は“音の出口”ともいえるほど重要で、
木の種類や産地、乾燥の状態によって、

  • 音の立ち上がり
  • 響きの深さ
  • 音の輪郭

などが大きく変化します。

トップ材は”サウンドボード”とも呼ばれるアコギの花形!

トップ材は英語でSoundboard(サウンドボード)とも呼ばれます。
弦の振動を最初に受け止めて音に変える場所
だからこそ、ギターの「鳴り」を決定づける一番重要なパーツです。

ここからは、実際にアコギに使われることの多い代表的な木材たちをご紹介します。


学名:Picea Sitchensis

高さが100メートル(330フィート)を超える大型の針葉樹の常緑樹で胸高幹の直径は5メートル(16フィート)を超えることもあり、スプルースの中では圧倒的に最大の種。

Wikipedia

Picea sitchensis の詳細

項目内容
主な産地アラスカ〜カナダ西海岸、アメリカ北西部
木の特徴真っ直ぐな木目、軽量で剛性が高い
気乾比重約 0.46
強度非常に高く、剛性と軽さのバランスが良い
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念)※現時点では絶滅危惧ではない
音色の特徴
代表的なモデル

学名:Picea engelmannii

エンゲルマントウヒは主に標高の高い山地に生息し、多くの地域では森林限界に達していますが、標高の低い地域では冷涼な渓谷に生息しています。

Wikipedia

Picea engelmannii の詳細

項目内容
主な産地北米西部、ロッキー山脈一帯
木の特徴柔らかめで繊細な木目
気乾比重約 0.41
強度シトカよりやや弱めだが音響特性が高い
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念)
音色の特徴
柔らかく、繊細で甘い音。小音量でも響くので【フィンガースタイルに◎】

イングルマンはシトカより密度が低く、柔らかいため、軽いタッチでもよく鳴り、繊細な表現に向いています。
特にサステイン(音の伸び)が長いことから、ソロギターやクラシックに好まれます。
逆に、大きな音圧をかけすぎると飽和しやすいので、ハードストロークには不向きです。
カスタムビルダーの間では「エンジェルボイス」と呼ばれることもあります。

代表的なモデル

学名:Picea abies

ドイツトウヒは円錐形の樹形でよくまとまっている。クリスマスツリーとしてもモミの木などとともに人気があるが、ツリーとしての本物はこの木とされている。

Wikipedia

Picea abies の詳細

項目内容
主な産地中央ヨーロッパ(ドイツ、オーストリア、スイスなど)
木の特徴密な木目で美しい外観
気乾比重約 0.44
強度軽くて硬く、音響的に優れる
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念)
音色の特徴
代表的なモデル

学名:Picea rubens

アディロンダックスプルースは成長が遅い~中程度の速度で成長し、寿命は250~450年以上で、若い木は非常に日陰に強い。

Wikipedia

Picea rubens の詳細

項目内容
主な産地アメリカ北東部、アパラチア山脈
木の特徴密度が高く非常に強靭
気乾比重約 0.42
強度4種の中で最も強くパワフル
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念)
音色の特徴
代表的なモデル

学名:Thujia plicata

Thuja属で最大の種で、高さ70メートル(230フィート)、直径7メートル(23フィート)にまで成長します。非常に寿命の長い木で、一部の標本は樹齢が 1,000 年を優に超えるものもあります。

Wikipedia

Thuja plicata の詳細

項目内容
主な産地北アメリカ西海岸(カナダ・アメリカ北西部)
木の特徴非常に軽量で柔らかく、香りが強い
気乾比重約 0.38
強度低めだが、振動吸収性に優れる
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念) ただし過剰伐採地域もあるため注視が必要
音色の特徴
【柔らかく温かみがあり、即鳴り(弾いた瞬間の音の立ち上がり)が良い倍音が豊富で、フィンガースタイルやクラシック系プレイヤーに特に人気

サステインも長く、やさしい響きを持つ一方で、強く弾きすぎると音が潰れる傾向も。

レッドシダーはスプルースに比べて約20%ほどヤング率が低く、音速も遅め
そのため音の立ち上がりや倍音の豊かさには優れますが、ボリューム感やパワー感は控えめ
しかし、指先の繊細なタッチまでしっかり音に変えてくれるため、
「音で語る」ようなプレイを目指すプレイヤーには理想的な材とも言えます。

また、乾燥や加工がしやすく木工的にも扱いやすい材ですが、傷がつきやすいため打コン対策は必須

代表的なモデル

学名:Khaya ivorensis

マダガスカルを中心とした西アフリカに分布するセンダン科アフリカマホガニー属の植物。リボン杢が出やすく、グレードの高い本物のマホガニーによく似ているため現在、マホガニーの代替材としては最も供給量が多い。

Wikipedia

Khaya ivorensis の詳細

項目内容
主な産地西〜中央アフリカ
木の特徴シンプルな木目、軽くて加工しやすい
気乾比重約 0.46~0.80
強度適度な硬さと粘りを持つ
レッドリスト取り扱いVU(絶滅危惧II類)※適切な管理が必要
音色の特徴
あたたかく中域が豊か。【まろやかでやさしい響き】

ホンジュラスマホガニーの代替材として広く使用されており、軽量かつ加工性が高いのが特徴。
音響的には中域にピークがあり、ボーカル帯域とぶつかりにくく、扱いやすい音色になります。
ただし音の伸び(サステイン)や粒立ちは、ジェニュインマホガニーに比べるとやや控えめ。

代表的なモデル

学名:Swietenia macrophylla

北米から中南米の広域に分布しているマホガニー。戦後キューバとアメリカの関係が悪化して以降、キューバン・マホガニーが入手困難となり、一気に需要が高まった木材。現在、インドネシアなどの東南アジアでも木材産業として植林も行われているため、マホガニーでは最も安価で供給量が多い。ホンジュラス原産のみワシントン条約の附属書IIに登録され生産者の検査が行われている。

Wikipedia

Swietenia macrophylla の詳細

項目内容
主な産地中南米(ホンジュラス、ブラジル、ペルー等)
木の特徴美しい縞模様、高級感あり
気乾比重約 0.56~0.66
強度高い耐久性としなやかさ
レッドリスト取り扱いVU(絶滅危惧II類)※国際取引はCITES規制あり
音色の特徴
代表的なモデル

現在ホンジュラスマホガニーをトップ材として使用していることを明記している、ご紹介できる代表的なモデルがありません。カスタムモデルが圧倒的に多く、プロパーで安定して供給されているギターが非常に少ないためです。随時更新いたしますのでいましばらくお待ちくださいませ。


学名:Acacia Koa

大木に育ちやすく、はかつて木材としてアウトリガーカヌーの製作によく使われていた。現在では保護のためにハワイ州政府によって輸出を制限されており、流通量には限りがある。コアの植樹家具への利用に取り組む企業もある。

Wikipedia

Acacia koa の詳細

項目内容
主な産地ハワイ諸島
木の特徴美しく光る杢が特徴的
気乾比重約 0.64~0.70
強度中程度で弾力性がある
レッドリスト取り扱いLC(軽度懸念)だが資源は限られている
音色の特徴
代表的なモデル

まとめ:トップ材で音の方向性が大きく決まるのでギター選びの際は必ず確認するようにしよう♪

「見た目」だけで選ぶのはもったいない!
トップ材によって、ギターの性格はまるで別物になります。

  • 明るく鳴るシトカスプルース
  • 優しく響くイングルマン
  • パワー重視ならアディロンダック
  • あたたかみを求めるならマホガニーやコア

ぜひ、あなたの音楽スタイルに合った木材を見つけて、ギター選びをもっと楽しくしてくださいね♪

  • この記事を書いた人

shimomori

1989年12月22日京都府北部生まれ。
大阪府で「Shimomori Guitars」銘でギター製作修理しながら某A社に勤める。
酒は特にウィスキーを愛する。
ギターに限らずヴィンテージが好き。

よく見られている記事

1

Positive Grid Spark Neoが2025年2月18日に発売されましたね。 Sparkシリーズは毎回初動が凄くて品薄になるのですが、今回も例に漏れず、初回予約分はすぐに完売。次回入荷予定 ...

2

エレアコ(エレクトリックアコースティックギター)は、ライブや録音でも活躍する便利なギターです。しかし、「どれを選べばいいかわからない」「価格帯ごとの違いが知りたい」と悩む方も多いのではないでしょうか? ...

3

これを見れば一生モノのギターを正しく選べるようになる! 技術者の目線で構造や木材の解説を交えながらおすすめのアコースティックギターをランキング形式でご紹介します。よくあるセールストークに対しての私見も ...

-アコギ

S