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サウンドハウス

Electric Guitar Repair / Custom

Gibson Victory をオリジナルと比較したら隠れたメッセージが見えてきた

Gibson Victoryが復刻発売され、巷では賛否両論の声が聞こえてきますね。

しかしこのモデル、シモモリ的には「めちゃくちゃアリ」だと思っています。

Victoryのオリジナル(原型)となっているMV-II、MV-Xの比較とともに、Victoryはどういった意図で製品化されて発売されたのか、見ていきましょう。

"MV-II"と"MV-X"

1981年8月から1983年4月頃まで製造されたGibsonのエレキギター。

エレキギターの源流であるカントリーをGibsonなりに昇華させたクロスオーバー「ポップ」カントリー・スタイルのギターとして1981年夏頃に発表されました。Fenderの競合としてリリースされたことは言うまでもありません。

しかし、Fenderのディティールにあまりにも酷似していたので当時のGibsonのバイヤーにさえも敬遠されたという背景もあり、実際に作られていた期間は非常に短いです。(1950sのスタイルを待ち望んでいたGibsonファンが多かったのも影響しているでしょう。)

特徴的なスタイルとピックアップ構成

出典:MOM and DAD MUSIC

世間の評価通り、ダブルカッタウェイのストラト風なスタイル(ピックガードもかなり…アレだ。)は非常にGibsonらしくないと言えるでしょう。

しかしながら作り方はさすが、高級志向を貫くGibsonファミリー。イースタンハードメイプルをボディとネックに贅沢に使い、指板はローズウッド(MV-Xはエボニー)にバインディングが巻かれています。

Tim Shaw氏による専用設計のハムバッカー

MV-IIにはフロントに"Velvet Brick"という高出力のハム、リアに"Magna II"というVelvet Brickと対を成すこのモデルのために設計されたハムバッカーを搭載。

MV-Xはさらにマルチヴォイスを意識して高い表現力を備えている。フロントから"Magna Plus"、"Super Stack"、"Magna Plus B"を搭載し、ミドルのスーパースタックはその名の通りスタック型のハムバッカー。

流線型とナイフエッジのようなヘッドデザイン

ファイヤーバードにも似たデザインのヘッドシェイプは、当時としては相当洗練された美しいバランス。正直、Victoryもコレがよかった…。

約40年越しに復刻した"Victory"

1984年の製造終了から約40年後の現代に復活したのがThe Modern Collection "Victory"。

たしかに復刻ということでギターデザインはMVを踏襲しているようですが、雰囲気はまたちょっと現代風になっている感じに。

ここから少し、オリジナルと比較しながら見ていきましょう。

復刻というよりはセルフオマージュに近い…?

外観の比較

MV-II(出典:chiacgo music exchange)とVictory(出典:Gibson Japan)の外観を比較してみよう。
俯瞰で見るとExplorerヘッドや切れ味鋭いピックガードが目を引きますね。ハードロックやメタルシーンに根付いているShecterやJacksonのようなシャープなギターの印象にデフォルメされています。
これによってテイストがかなり尖ったイメージに。

全体(トップ)

全体(バック)

ボディアップ

モダナイズされた仕様

スペックの比較

仕様を比較してみるとフレット数や演奏性に関わるコンター加工、電装系の追加機能が現代風になっているのが分かります。
また、ボディネックに使われている材がマホガニーになっているため、重量だけでなくサウンドにもかなり違いが出てきます。具体的にはMV-IIの方が輪郭がしっかりしていて明瞭で、Victoryは中音域が豊かかつレンジが狭く音に丸みがある印象。
MV-IIVictory
発売日1981/82024/9
ボディイースタンハードメイプル
(比重:約0.61)
マホガニー(比重:0.49)
(AAフレイムトップ)
ネックイースタンハードメイプル3Pマホガニー
指板ローズウッドエボニー
コンターウエストカットウエストカット
ヒールカット
フレット数22f24f
弦長648mm648mm
PUF: Velvet Brick
R: Magna II
F: 80s Tribute
R: 80s Tribute
Extコイルタップ機能コイルタップ機能
コイルセレクト機能
Candy Apple Red
Antique Fire Burst
Dark Walnut Satin
Gold Mist Satin
Dark Green Satin
Iguana Burst
Smokehouse Burst
Wine Red Burst
付属品ハードケースハードケース

サウンドチェック

モダンロックを意識した太いサウンドメイクができそう。オールマホガニーらしく音の輪郭は丸い。サウンドチェックでDjent風に弾いている動画が散見されるのですが、実際に使うとなるとアンプやエフェクターを正しく選択して筋肉質なトーンになるようサウンドメイクするとより良いかと思います。

やはり"異端的"な存在感を放つ

Victory 全6種のカラバリ

通常モデルは艶消し 3色
Figured Topモデルは艶有り 3色
Dark Walnut Satin
Dark Green Satin
Gold Mist Satin
Smokehouse Burst
Wine Red Burst
Iguana Burst

新発売のVictoryから見えてきたメッセージ性

1981年に登場した際、先進的で異端的な存在感を放っていたMV。当時のそのまま完全に復刻していたとしたら、現代では相当受け入れられていたことでしょう。少なくとも、↓のようなギターを好きで作っている私にはドはまりしていました。

しかし、2024年に発表されたVictoryは、我々の期待とは裏腹にさらにモダンを追求した、未来のデザインをしていました。

今受け入れられるものを作るのではなく、数歩先を往く異端のモデルとして、Gibson Victoryは在り続けるのでしょう。

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最後に…Victoryをシモモリがカスタマイズするとしたら

最後に、シモモリがVictoryに手を入れるとしたらどんなカスタムを施すのかご紹介して終わりたいと思います。

写真はMVをベースにしていますが、こんな感じはどうでしょう?

Bigsbyトレモロを搭載(イメージ)

ピックガードをMV-II(もしくはMV-XでPU増設)に変更し、Bigsbyのトレモロを装着するのはどうでしょうか?Explorerヘッドも整形して変更したいところですが、個人的にはGibsonロゴが消えてしまうよりはそのままでいくのが◎。イメージを見てみてもそんなに嫌な感じはしないのでこれでいいでしょう。

Bigsbyを搭載することにより、重量が増してテンションが緩くなるため、マホガニー特有の抜けが甘い感じも軽減されつつサスティーンが伸びて、表現力も向上すること間違いなし。

Bigsbyでサイズが適合するのはB5。サウンドハウスが¥20,000台前半で手に入るのでおすすめです。

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  • この記事を書いた人

shimomori

1989年12月22日京都府北部生まれ。
大阪府で「Shimomori Guitars」銘でギター製作修理しながら某A社に勤める。
酒は特にウィスキーを愛する。
ギターに限らずヴィンテージが好き。

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