皆さん、ナイロン弦のあのメロウでソウルフルな音色、どう思いますか?
じつに良いですよねえ?! (パワー)
私もアコースティックギターばかり弾いていますが、あの心を震わせる人肌に近い響きは、鉄弦だとなかなか出せないんですよね。
ただ、クラシックギターとなるとネックが太くなったり、良いギターの相場が当たり前のように30万円を越えてきたり、数百万円の海外製があったり、「ナイロン弦のギターって敷居が高いな〜」と感じている人…、心の中で手を挙げてもらっていいですか。
はい、ありがとうございます。
そんなあなたに!(パワァ)
業界のロープーである私からおすすめのナイロン弦ギターをスペック別でご紹介しましょう!
この記事はこんな人におすすめ
- 普段はアコギを弾いていて持ち替え用のクラシックギターを探している
- クラシックギターで弾き語りをしたいがどう選べば良いのかイマイチ分からない
クラシックギターの特徴
1.アコースティックギターとクラシックギターの違い
ギターの歴史に関してはクラシックギターの方が圧倒的に昔に誕生していて、1800年代前半には現代のギターの原型ともいえるTorresモデルが産声をあげました。フラットトップ・アコースティックギターの生みの親であるMartinも最初はガットギターを製作していましたが、より大きな音量を求めて鉄弦のギターへとシフトしました。
当然ながら張っている弦が違います。アコギは高炭素スチール弦+巻弦、クラギはナイロン弦+銀巻弦。しかし、クラシックギターの柔軟かつアタック感のある鳴りを生み出しているのは弦だけではありません。
次にネックの幅が結構違います。これはナイロン弦が太いという事と伝統的な設計を重んじるクラシックギターの製法が関係しているのではないかと思います。また、なるべく音を太くするためにもネックを太くすることは重要です。
ネックとボディを接着しているポジション(ジョイントフレット)も違います。ほとんどのアコギは14Fでジョイントしていますが、クラシックギターはよほどポップスにシフトしたモデルでない限りは12Fジョイントです。
音の成長性も微妙に違っていて、アコースティックギターは持ち主の癖を読み取ってゆっくりと徐々に音が育っていくのに対し、クラシックギターは分かりやすく持ち主の音色に育っていきます。そのため、クラシックギターは中古になると前オーナーの癖を強く残すため、価値が落ちやすい傾向です。
得意ジャンルは、意外とあまり違いがありませんね。つまり、クラシックギターは弾き語りにも最適という事です。早いパッセージのリードをこなすことも、スリーフィンガーでベースラインを刻みながらメロディを弾くことも得意です。
2.優しく儚いだけじゃない!力強くて人間味のある大人の響き
クラシックギターと聞いて多くの人が最も魅力を感じるポイントの音色。それはシルキータッチな優しく儚げな音から突然の雷鳴や大砲のような迫力に満ちた音まで。そのどれもが人肌に近くて絶妙な表現力を持っていて、とても音楽的なのです。
3.音楽の3要素「リズム」「メロディ」「ハーモニー」を1台で担える
ギターやウクレレ等の弦楽器全般に言えることです。スウィングやエイトビート等を刻むことは勿論、弦をチャッと叩くようにして出すパーカッシブな音も出せる優れた土台(リズムパート)。曲の心臓部となる主旋律(メロディ)。土台と主旋律にさらに彩りを添えるコードワーク(ハーモニー)。音楽の3要素全てを兼ね備えています。
4.価格帯別の特徴
クラシックギターは20,000円台〜数百万円まで、幅広い価格帯のラインナップがあります。安いモデルは軽快でさっぱりとした響きのモデルが多く、高ければ高いほど音に深みが増して弾き心地のよい音色になります。100万円を越えると、ネームバリュー等の付加価値が付いていきます。
5.弦長、ボディサイズ、ヘッドデザインには一定のパターンがある
アコースティックギター以上に伝統的な作り方を重んじる傾向があります。その為、自然とモデルは一定のパターン化がされています。私は少なくとも30ブランドは見てきましたが、それでも最終的にはラベルを見ないとブランドや型名が分からない事が多々ある程、クラシックギターのあのスタイルは大事にされているのです。
ナイロン弦で弾き語りをしているアーティスト
アーティスト | 使用ガットギター |
---|---|
玉置浩二 | JOSE RAMIREZ MARCERO BARBERO PAULINO BERNABE BUSCARINOのエレガット |
KIRINJI(掘込高樹) | ハウザータイプのエレガット JOSE RAMIREZ? |
藤原さくら | Martin OOOC Nylon |
Dr.Capital | Cordobaのエレガット(GK PRO等) |
玉置浩二
JOSE RAMIREZ等を使用
アコースティックギターとクラシックギターの両刀で弾き語りをする玉置浩二さん。歌うますぎますよね。笑
アコギはMartin D-45S(12Fジョイント)やステファンスティルス仕様D-45等、最高級機種を愛用。クラシックギターもJOSE RAMIREZや(かつてラミレス工房でギター製作していた)Paulino Bernabe等、これまた良いお値段のするモデルを愛用されているそうです。特に音にこだわって選んでいるのが分かりますね。
KIRINJI
JOSE RAMIREZ等を使用
何度聴いてもこの「エイリアンズ」イントロの情緒溢れる音色は他の楽器では替えが効かないですね。数々のアーティストが絶賛する完成度の高いこの曲を支えているのは、紛れもなくクラシックギターの深い響きです。
藤原さくら
Martin OOOC Nylonを使用
藤原さくらさんが愛用しているMartin OOOC Nylonは、どちらかというとフォーク・ナイロンというカテゴリに入る(そんなカテゴリがあるのか分かりませんが、そう銘打った弦は出てますw)クラシックギターです。歌モノに特によく合うように、音の艶を押さえてクリアーな音色にシフトしています。スモーキーな歌声とも相性バッチリですね!
Dr.Capital
GK PROをはじめとしたCordobaのエレガットを使用
胡散臭そうな関西弁と謎背景で最初は「なにこの外国人?!」となってしまった私ですが、音楽博士を自称するだけあって音楽に対する探究心や素晴らしいギターテクニック。歌も上手で、一気にハマってしまいました。ギターを嗜む人で見たことない方はすぐにでも視聴した方が良いYoutubeチャンネルの一つです。これまで25枚以上のシングル、アルバムをリリースし、2017年にアンジェラ・アキとの共作も作り上げています。
おすすめモデルの紹介
コストパフォーマンスと弾き語りに適している事を重視して価格帯別にセレクトしました。競合がたくさんある中で、私が買うなら…という目線でかなり厳選いたしましたので、どれを買っても後悔しないと思います。是非ご参考にしてみてください。
1.コスパ最強さすがのヤマハ!YAMAHA CG142C
2.コスパ最強のエレガット!Martinez MP-12 MH,MP-14 MH
3.全単板なのに恐るべきコスパのエレガット!Cordoba GK studio Negra
4.フォーク路線の音色でコスパNo1!Taylor Academy12e Nylon
5.ユーザーフレンドリィで本格的なエレガット!K.Yairi CE-3,CE-3D
6.至高のフォーク路線エレガット!Martin OOOC12-16E Nylon
7.知名度No1で甘い音色と高い演奏性!Jose Ramirez CUT2
YAMAHA CG142C
CG122等の下位機種と悩みましたが、数千円の違いで仕上げが断然綺麗になるので、買って後悔しないのは間違いなくこちらです!
- 自社の中国工場で作られており優れた品質
- 他の同価格帯モデルと比べると音が全然違う
- 初期不良が少なく徹底した品質管理
- 初心者の方でも良い音が出しやすい杉単板
- 艶有り仕上げのため高級感もある
低音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
高音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
レスポンスの良さ | ★★☆☆☆ |
音量、音圧の強さ | ★★★☆☆ |
演奏性の高さ | ★★☆☆☆ |
コスパ | ★★★★★ |
フレーバー | ・すっきりした倍音 ・ウォーム、クリアーな音色 ・クラスを越えた大きな鳴り ・ビギナー向け |
松単板採用のバリエーションモデルもあるよ!
Martinez MP-12 MH & MP-14 MH
カッタウェイと細身のネックが演奏性の向上に貢献しています。ハイポジションをほとんど使わない人には12Fモデルが音質的に優れていておすすめ!ソロギター演奏をする人やプレイヤビリティを追求するならば14Fがおすすめです。
- グロスフィニッシュの高級感とデュアルPUでコスパ最高のエレガット
- すっきり抜けが良いので歌モノによく合う
- 生音は良くも悪くも価格相応
- ライトミュージック寄り(14F)とクラシック寄り(12F)の住み分けがはっきりしていて選びやすい
- アジャスタブルトラスロッド仕様でネック調整が可能
低音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
高音域の豊かさ | ★★☆☆☆ |
レスポンスの良さ | ★★★☆☆ |
音量、音圧の強さ | ★★☆☆☆ |
演奏性の高さ | ★★★☆☆ |
コスパ | ★★★★☆ |
フレーバー | ・すっきりした倍音 ・クリアー、ブライトな音色 ・軽快かつふくよかな鳴り ・ビギナー、ライトユーザー向け |
ライン出力もメインでこなしたいならこれで決まり!音質にこだわるならさらに高い価格帯を目指しましょ!
Cordoba GK Studio Negra
また、Amazonリンクから選べるPRO等の上位モデルは完全上位互換と呼べる超ハイクオリティなモデルになっているので、それらも含め、このシリーズは全ておすすめです!
- フラメンコ対応モデルなので弦高が低く設定されていて弾きやすい
- もはやお約束となったデュアルPUシステム搭載でハイクオリティなライン出力
- ディープな低音からブリリアントな高音までレンジが広い
- 抱えやすいボディと高い演奏性で長時間のプレイにも疲れにくい
- オール単板の本格的な音質を求めるならGK PROシリーズがおすすめ
- アジャスタブルトラスロッド仕様でネック調整が可能
低音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
高音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
レスポンスの良さ | ★★★☆☆ |
音量、音圧の強さ | ★★★☆☆ |
演奏性の高さ | ★★★★☆ |
コスパ | ★★★☆☆ |
フレーバー | ・低音から高音までレンジの広い豊かな倍音 ・メロウかつシャープな音色 ・立ち上がりが良くキビキビとした鳴り ・ビギナー〜本格派向け |
コスパモデルもここまでくるとレンジが広くてかなり柔軟に対応できるようになってくるよ!こちらからデモンストレーション音源も聴いてね!
Taylor Academy12e Nylon
艷やかでやさしい音色というイメージからは少し離れて「乾いた」「透明感」のある音色を押し出したトーンが特徴的。フォークやブルース、R&B等に最適なサウンドで、抜けが良く音圧もあるので弾き語りだけでなくバンドアンサンブルにも最適です。
- エルボーコンターが入ったユーザー・フレンドリィな演奏性
- 抜けの良さと枯れた音色に振り切ったトーンキャラクター
- ピックアップはボディセンサー式でスラム奏法にも対応可
- アジャスタブルトラスロッド仕様でネック調整が可能
- Taylorならではの高い強度を誇る独自構造
低音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
高音域の豊かさ | ★★★★☆ |
レスポンスの良さ | ★★★☆☆ |
音量、音圧の強さ | ★★★☆☆ |
演奏性の高さ | ★★★★☆ |
コスパ | ★★★☆☆ |
フレーバー | ・すっきりとした倍音 ・ウォーム、クリアー、肌触りの良いエアリーな音色 ・カラッと乾いた抜けの良い鳴り ・ライトミュージック・ユーザー向け |
アコースティックギター・ブランドらしく、親和性の高い作りとサウンドキャラクターを持っているよ!
K.Yairi CE-3 & CE-3D
生鳴りは素朴で優しく、アンプから出る音もウォームで心地よい。
こちらはレスポンスの良い薄胴モデルだが、やや深胴になっているCE-3Dもある。
- 純国産で頑丈な作り
- 永久品質保証付き
- ナット幅が圧倒的に細い
- レスポンスの良さは残しつつ音に深みを出したDモデルもおすすめ
- アジャスタブルトラスロッド仕様でネック調整が可能
低音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
高音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
レスポンスの良さ | ★★★★★ |
音量、音圧の強さ | ★★★☆☆ |
演奏性の高さ | ★★★★★ |
コスパ | ★★★☆☆ |
フレーバー | ・すっきりした音像と豊かな倍音 ・素朴で優しい音色 ・レスポンスの良い鳴り ・ライトユーザー向け |
ネックが細くて弾きやすい!アコギやエレキと持ち替えることの多いギタリストに!
Martin 000C12-16e Nylon
- 味わい深いレトロな音色でバラードやカントリーミュージック等にも最適
- ロングスケールから得られるダイナミクスが魅力
- シンプルに弾いていて楽しくなるギター
低音域の豊かさ | ★★★☆☆ |
中音域の豊かさ | ★★★★☆ |
高音域の豊かさ | ★★★★☆ |
レスポンスの良さ | ★★★★★ |
音量、音圧の強さ | ★★★★★ |
演奏性の高さ | ★★★★★ |
コスパ | ★★★☆☆ |
フレーバー | ・整った粒立ちの豊かな倍音 ・ローファイ、メロウ、ブライトな音色 ・ダイナミクスレンジの広い表現力豊かな鳴り ・素朴で角のないギターの音色が好きな人向け |
不思議な魅力に満ちた音色は必聴!こちらの動画が分かりやすいです。
Jose Ramirez CUT2
高額なモデルは新品で数百万円のクラスですが、Estudioモデルであればなんとか手が届く範囲の価格帯にあります。
その中でも歌ものに最も適しているのは高品質なエレガットCUT2でしょう。
太く豊かな倍音を纏った音色ながら芯がしっかりとしているためクリアーで抜けが良く、他のブランドには真似できない最高品質のサウンドが手に入ります。荒井貿易が代理店業務を終了し、国内の流通量が少なくなっているため2022年1月現在では希少なモデルです。
- パワフルかつ甘く艷やかな太い音色
- Estudio(低価格)モデルながら高品質な材のみを使用
- おしゃれな装飾と演奏性の高いデザイン
- ピエゾとマイクのブレンド出力ができるプリアンプを搭載
低音域の豊かさ | ★★★★★ |
中音域の豊かさ | ★★★★★ |
高音域の豊かさ | ★★★★☆ |
レスポンスの良さ | ★★★★☆ |
音量、音圧の強さ | ★★★★★ |
演奏性の高さ | ★★★★☆ |
コスパ | ★★☆☆☆ |
フレーバー | ・非常に豊かな倍音 ・メロウ、ウォーム、クリアーな音色 ・スペイン製らしい力強い鳴り ・音色にこだわる本格派な方向け |
万人に好まれる高品質なトーンはさすがラミレス!レコーディングにも最高におすすめのエレガットです!
最後に
どうですか?味わい深いナイロン弦の音色の魅力が少しでも伝わりましたでしょうか?何十年と趣味でギターを触っていますが、魅力はどこまでも尽きませんよね。普段はアコギやエレキを弾いている人も、この機会に是非クラシックギターを弾いてみてはいかがでしょうか?
それでは皆さん、引き続き良いギターライフを!